パックン「日本はホロコーストをやったドイツと同等!」←フェイクニュースでした

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こんにちは!
カズ()です。
“日本はホロコーストをやったドイツと同等。したがって相手が嫌がっている旭日旗の持ち込みを禁止すべきだ。そう我慢するのが日本人のおもてなしの心でしょう”

ある番組内で、お笑いタレントのパックンが発言したとされ大炎上したこの騒動、あなたは知っていますか?

2019年9月下旬から10月にかけて、ネット上で一気に広まったこの情報ですが…

どうやらデマである可能性が高いことが分かってきたんです。

結論から言うと、番組の中でパックンのこのような発言は一切どこにも見当たりませんでした。

今回は、パックンの「日本はホロコーストをやったドイツと同等!」発言について書いていこうと思います。

パックン『ホロコースト発言』騒動の概要

このパックン『ホロコースト発言』騒動ですが…実は10月半ばになるまで、僕はこの騒動のことをまったく知りませんでした汗

ではどうやって知ったのかというと、↓YouTubeでコチラの動画をたまたま見たのがきっかけです。

この動画はのITジャーナリスト宮脇睦(みやわきあつし)さんという方が、『みやわきチャンネル(仮)』にアップロードされているYouTube動画です。

コチラの動画に一通り目を通してもらえば、大まかな経緯は分かるかと思います。

この動画を見て、「えッ?あのパックンがそんな大胆なコメントを!?」というのが僕の最初の感想でした。

ですが、宮脇さんは「海外の動画サイトで該当の番組を確認したが、パックンの発言でそのようなコメントは見つからなかったとの解説。

「発言していない?それなのに何故にこんな大騒動に??」

そこで自分でも詳しく調べてみようとなったわけです。

事の発端は、9月25日の静岡新聞の『論壇』で、評論家の屋山太郎さん(87)が書いたとされる「『日本の歴史と日本精神を学ぶべき』-旭日旗は自衛艦旗であり、主権国家日本の象徴であり、戦犯旗ではない-」というタイトルの記事。

これがあるサイトに転載され、そこから一気にネット上に拡散したという流れのようです。

ちなみにパックンが発言したとされるのは、

BS-TBSの“報道1930”という番組の『日韓“旭日旗”問題 東京五輪はどうなる!?』というテーマの9月20日(金)放送回。

メインキャスターはTBSの松原耕二記者。

この日のサブキャスターは同じくTBS出水麻衣アナウンサー。

解説は国際情報誌『フォーサイト』元編集長の堤伸輔さん。

コメンテーターは元産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘さん、世宗研究所主席研究委員の陳昌洙さん、そして金曜レギュラーのパックンという顔ぶれ。

ちなみに、通常の放送時間は19:30-20:54の84分間となっています。

しかし冒頭で松原さんが「野球中継のため、今夜はこの時間からのスタートということになります」との説明があり、

Wikipediaの脚注・出典の項目にも『プロ野球中継が編成された場合は21:00-21:54に短縮放送となる場合がある』との記載があります。

つまり、この回の放送は54分間の短縮放送だったことが推測できます。

番組内でのパックンの発言抜粋

宮脇さんはDailymotionの動画で確認したとおっしゃっていましたが、YouTube動画でもアップされていないかと検索してみたところ…ありました!

ここにはあえて載せませんが、YouTubeで“パックン 旭日旗”で検索するとすぐに出てくると思います。

こちらのYouTubeの動画の長さはCMカットありの41分33秒。

Dailymotionの動画(37分52秒)との違いは、出水アナウンサーが冒頭で1日のニュースを読み上げる部分の有無のみのようです。

54分間の放送からCMをカットするとこれくらいの長さになると思うので、ほぼフルの本編が収録された動画と考えてよさそうです。

その上で、パックンが発言した部分(全4回)を抜粋して検証してみたいと思います。

【パックンの発言その1(13分30秒~14分52秒)】
「いやぁ、ホントに微妙なタイミングでこれが出てきたなぁと感じます。もう少し、お互いに仲良くしている時期であれば、おそらくこちらから一方的に、日本が自発的に『持ち込まないように』と呼びかけることにしたんじゃないかなと思うんですよ」

「そう思う根拠の1つは、たとえば国土交通省は数年前、確か2016年に新しい地図の基準を発表したんです。そこには今まで使っていた卍マーク、日本では古くから使われている生活に馴染みのある卍マークなんですけど。やはりこれはナチナチスを想起させるものであって、海外のお客さんにとって嫌な気分になるきっかけだから、自発的に日本の地図から無くしたんです」

「もちろん日本国内の皆さんの気持ちもあるんですけど、おもてなしの一環としてお客様の気持ちを最優先したんです。同じことやってくれるかなと思うんですけど、今この挑発が続いている中でむしろ韓国から注文されたから、安倍政権はなかなかそこで折れられない。折れてしまったら逆に『メンツが潰れた』という風に感じるんじゃないかと」

「(松原さん:自分からやるんじゃなくて、韓国から言われて応じるわけにはいかないと?)普段だったら自発的にやったんじゃないかなと思うんですよ」

【パックンの発言その2(23分20秒~24分20秒)】
「(松原さん:旭日旗が振られることが、より韓国の国民感情を悪化させてしまう?)その通りだと思います。これがさっきお話になった政府見解で、大きな異議が挙げられるところだと思うんですね。旭日旗のデザインは大漁旗や出産・節句祝いでよく使われているということなんですけど」

「おそらく韓国の皆さんも、出産祝いで旭日旗使われてもまったく文句は言わないと思うんですね。節句祝いでも大漁旗としても揚げられても構わないでしょうけど」

「そもそもこのスポーツの祭典、平和祭典と言われているオリンピックは結局、国旗、国のユニフォームの下で戦ってる国同士のいわゆるナショナリズムを煽る場でもあって、国の対立の構造がピッチ上で見られるわけ。そこで旭日旗は出産祝いという意味で振ってないはずです。相手国に対する挑発行為であって、攻撃的なしるしとして受け取られて当然かなと思うんですね」

【パックンの発言その3(31分54秒~33分57秒)】
「(黒田さんの『韓国は病的じゃないか』という発言に対して)病的という表現は本当に僕は申し訳ないですけど、いけないと思うんですけど。お互いに怒り過ぎてるというのは間違いない、感情的になり過ぎてるのは間違いないと思いますし。普段だったら『よし!ここで第三者に相談しに行こうよ』って、今までの問題、徴用工は国際裁判に持っていこうかとか、貿易の問題・通商規制の問題はWTOに持っていこうかと、こういう話があるんですけど。今回はIOCに持っていこうと。でもIOCがそこで『絡みたくない』と言うのもよく分かるんですね」

「(ここでパネルを見せる)でちょっと参考になるかと思って用意しましたけど。こちらはFIFAワールドカップで禁止されてる旗なんですね。去年なんですけど、よく見るとソマリランドとかクルディスタンなど独立を目指している自治体。もしくは、この辺はテロ組織の旗だったりして、まぁいろいろ禁じられてるんですけど。主にですね、加盟国が国内問題で『うちの国内で反政府勢力がありまして、この旗は禁止してほしい』とのお願いに応えて禁止していると思われます。主に国内問題なんですね」

「他国から頼まれて別の国の旗を禁止にすることは、このFIFAの例では伺えないですね。IOCも他人の旗は簡単に多分禁じられないと判断してるんです。『お二人でなんとか話し合って解決してください』というのがIOCのスタンス。ケースバイケースで決めると言ってます」

「そこで日本が、韓国のご意見というよりもさっき陳さんがおっしゃった『国際社会からどう見られるのか』。自国のイメージ、自国のアピールポイント、『お・も・て・な・し』はどう形にするのか。その議論に基づいてやった方が、むしろ冷静になれるんじゃないかなと思います」

【パックンの発言その4(37分38秒~38分22秒)】
「まぁさっきからちょこちょこ口にしてますけど、日本は『お・も・て・な・し』というこの一単語でIOCの誘致活動も行いました。おもてなしの大前提は、相手の気持ちを考える、一番喜ばれるような形の何かを提供する」

「そこで韓国政府は確かに過剰反応してます。いろんなところで口うるさいこと言ってます。でも多くの方はあれを見て不快な気分になる。で、この議論もあって、(日本)国内でも『あーやっちゃった』と思う方も多分増えてると思うんで」

「まぁ日本が自発的におもてなしのつもりで、折れたつもりではない、おもてなしのつもりでやればいいかなと思うんですね」

結論:『ホロコースト』発言は無かった

ちょっと長いですが、どうですか?

「日本はホロコーストをやったドイツと同等!」

という発言、ありましたか?

無いですよね。

ホロコーストの“ホ”の字すらありません。

そもそも日本とドイツを比べること自体していません。

一番最初の卍についての説明部分(これについてはパックンの勘違いで、実際は今でも卍マークは普通に使われているようですが)で、“ナチス”という単語が一度だけ。

旭日旗についての話では、ホロコーストという単語もドイツという単語もただの一度も出てきていません。
良くも悪くもテレビに出ているコメンテーターさん達が言いそうな、ありがちな事なかれ主義的なコメントのみ。

「こんな事なかれ主義なことばかり言ってるから、いつまでたっても問題が解決しないんだ!」

と思われた方もいらっしゃるかとは思いますが、それについては今回の論点とは異なるので省きます(笑)

ちなみにこの動画は番組が放送された翌日、9月21日にはアップされていたようです。

「これだけ騒動になったんだし、さぞ再生回数の方も数十万回は軽く突破していて、コメントもとんでもない数なんだろうなぁ…」

と思って見てみると、再生回数は数百回程度。

コメントの数にいたってはたったの1件。

「…えっ!?あんなにはっきりと番組名まで書かれていたのに、だーれも大元のソース動画を確認していないの!?(苦笑)」

驚きました。

パックンがその発言をしたと書かれた静岡新聞の記事の転載をそのまま鵜呑みにして、大半の人たちが実際の映像も確認せずに批判していたという事実に…

そもそも、本当にそんな極端な発言があったとするなら、わざわざ放送から5日も過ぎたあとの新聞記事経由ではなく、放送直後に視聴した人が騒いでいるはずなんですよね。

そして、すぐにその部分が映像つきでツイッターにアップされているはず(笑)

しかしここまで僕がツイッターで確認したところ、そのような映像は1つも見当たりませんでした。

ほぼ全てが、屋山太郎さんが書いたとされる静岡新聞のソースを元にした記事のみ。

ごく数人の方がこのYouTube動画のリンクを提示して「パックン、そんなこと言ってないよね?」とツイートされているのも見かけましたが、ものの見事に反応なし…

おそらく、屋山さんが個人的にそう受け取ったという主観的な話が「パックンがそのように発言した」と勘違いされて広まったのが、ここまで炎上した原因なのかなと。

屋山さんの書いた記事をよく読んでも「パックンの“認識”は」と書かれていて、“発言した”なんてどこにも書かれていません。

ここまであれこれと考察してきましたが、『人間は衝撃的な物事を目の当たりにしたとき、信じたいものを信じてしまう真相心理が働く』のではないかと。

「あのパックンならそう言うに違いない!」と。

例えそこにまともな証拠がなかったとしても。

おわりに

個人的にはパックンは特に好きでも嫌いでもありませんが、さすがに本人が言ってもいないことで批判されるのはいかがなものかとは思います。

それと同時に、フェイクニュースといものがどういう経緯で拡散されてしまうのかということも知ることができ、『自分の目でソースを確認せずに、受け取った情報をそのまま鵜呑みにしてしまうことの危うさ』について、改めて実感する一件となりました。

パックンのWikipediaも見てみましたが、すでに発言したことが事実として載せられてるんですね…汗

これもうパックンが訴えるんじゃないの…?(;´∀`)

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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