2020年7月14日(火)放送の『林修の今でしょ!講座』。
『猛暑の夏!新型コロナ&夏マスク熱中症 一番いいマスクは?熱中症を防ぐ④つの方法』というテーマで放送されました。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
無自覚の人でも新型コロナ感染の可能性がある今、外出時にかかせなくなったのがマスク。
しかし、高温多湿の日本で夏にマスクをつけるということは今までなかったこと。
さらに今年の夏は平年より気温が高くなると予想されているんです。
そこで注意が必要なのが…夏マスク熱中症。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
現在のコロナの死亡者数より多くの方が1年間に亡くなっている熱中症。
この夏、いつも以上に注意が必要な熱中症から身を守る方法を学びます。
マスクについて教えてくれるのは、科学的な観点から10年以上マスクを研究している聖路加国際大学准教授の大西一成先生。
熱中症について教えてくれるのは、『済生会横浜市東部病院 患者支援センター長』麻酔科医の谷口英喜先生。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
一番苦しくないマスク素材は?
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
マスクをつけたまま男女が軽い運動を10分間し、運動前と運動後のそれぞれの数値を測定
温度上昇がわかる3つのデータ測定(サーモグラフィー・1分間ごとの体表面温度・深部体温)の結果を基に大西先生が作成したランキングを発表します。
第1位:ウレタンマスク
運動後に顔の表面温度が0.2℃上昇。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
ウレタンマスクは着用したときに鼻の部分の隙間が大きく、空気が出入りしやすいので熱がこもらないんです。
検証に参加した人によると
とのことでした。
ちなみに、隙間があっても飛沫を飛ばなさいなど拡散防止にはちゃんと効果が期待できるそうです。
第2位:ガーゼマスク
運動後に顔の表面温度が0.4℃上昇。
ガーゼマスクは隙間が大きいので通気性が良く空気が通ります。
また、ガーゼマスクは大きさが小さいため口についたとしても空気が周りの隙間から出たり入ったりするので、息苦しくならず温度上昇も抑えられるんです。
検証に参加した人によると
とのことでした。
第3位:布マスク
運動後に顔の表面温度が1.4℃上昇。
布製マスクは通気性は良いですが、吸湿性が高いためにマスクが口に貼り付いて熱がこもってしまいます。
検証に参加した人によると
とのことでした。
第4位:不織布マスク
運動後に顔の表面温度が2.2℃上昇。
不織布マスクは小さい粉塵をフィルターでしっかり捕集したいという目的で作られているので、息を吸うときや吐くときにフィルターの隙間が小さいとマスクが動いて口に吸いついてしまいます。
また、汗をかいてくるとマスクの周りの隙間も塞がってきて、熱が溜まって息苦しくなってしまいます。
検証に参加した人によると
とのことでした。
黒マスク、温度どれくらいUP?
この夏、若者に人気のカラーマスクは注意が必要です。
特に黒マスクは白マスクと比べて温度が10℃以上も上昇するんです。
黒色は太陽光を吸収しやすく温度が上昇しやすいという特徴があります。
気温35℃の日に黒と白のTシャツの表面温度をそれぞれ計測したところ…
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
白と黒の比較で15℃もの差が出ていました。
マスク熱中症を防ぐためにも、夏は白や明るい色のマスクを使うのがオススメです。
ウイルスを一番通さないマスクは?
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
マスク前に飛沫と同じくらいの粒子を浮遊させ、どの程度侵入したか計測
その結果、ウイルスを一番通さなかったのは不織布マスクでした。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
新型コロナと同じくらいの大きさの粒子を約55%防ぐことができました。
不織布マスクの科学的に正しい付け方
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
さらに、不織布マスクをつけるとき少し気をつけるだけで、粒子の侵入を約95%防ぐことができたんです。
【不織布マスクの科学的に正しい付け方】
⓪マスクに触る前にしっかりと手を洗う
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
①マスクの間(ノーズフィットの部分)に指を入れて半分に折る
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
②半分に折った部分を折り返す
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
③自分の鼻の高さと同じに調節する
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
④左右ともに折り返してWの形にする
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
⑤軽くプリーツを広げる
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
⑥口にマスクを当ててゴムひもをかけ、鼻の上・横・顎の下から漏れがないように密着させる
マスクのフィット感にも個人差があるので、骨格やマスクの素材など自分に合ったマスクを選択してください。
また、不織布マスクには劣りますが他の種類のマスクも大きい飛沫を防ぐことはできるので、感染対策としては効果が期待できます。
①手に付着したウイルスから自分を守る
②喉の保湿保護
③人に広げないウイルス拡散防止
夏のマスクは使い分けが大切です。
・密になる可能性があるとき…ウイルスの侵入率が低い不織布マスク
マスクの特徴を理解し、状況や環境に応じて自分に合うものを選んで使ってください。
35℃の猛暑日、体は大丈夫?
その中にマスク無しの状態とマスク有りの状態でそれぞれ30分入ってもらい、どれくらい体温が上昇するかを計測。
2019年8月2日、午後2時ごろに外出しているのとほぼ同じ状況です。
さらに判定の前後で体重を測定し、かいた汗の量も計測しました。
・10分後…マスクをしている方は顔や首に暑さを感じるという自覚症状が現れました。
・20分後…マスクをしている方は額から玉のような汗がたくさん出てきました。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
・30分後…マスクをしている方は開始当初は黄色だったマスクが真っ赤に変化し高温になっていました。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
かいた汗の量はマスク無し114g、マスク有り151gで、マスク有りの方が37g多いという結果に。
猛暑日のマスク着用は汗をかく量が増えて熱中症のリスクがさらに高まることが証明されました。
マスクを外すべき危険なタイミングは?
頭:ボーっとする・めまい
腹:食欲低下:吐き気
足:足がつる・けいれん
頭・腹・足、この3箇所は体の中で水分が豊富な場所で、つねに水分がないと十分に機能しません。
夏マスク熱中症を防げる!④つの方法
「実は新型コロナ感染症と熱中症の症状は瓜二つなんです。ですので私たち医療従事者は混乱しちゃうんです」
「医療の混乱をまねかないためにも、皆さん熱中症予防をきちんとしていただければと思います」
ペットボトルで重症か判明
熱中症で病院に行くかどうかを見極める基準として、未開封のペットボトルを利用する方法があります。
①ペットボトルを開けられなくなった
②飲み物を飲み込めない
飲みたいときに飲める意識があるか、飲み込める力があるか、この一連の動作ができるかできないかが熱中症の重症度にすごく関係してきます。
夏マスクをしていると危険なシチュエーションは?
2020年5月の関西某所、気温25℃の中で女性がマスクをつけて自転車で外出したときのことです。
軽快にペダルを漕いで進んでいたところ、上り坂に差し掛かったときに突然意識を失い転倒、熱中症で病院に運ばれました。
自転車に乗っていると風で汗が乾燥するので、汗をかいていることに気付きにくくなります。
さらにマスクをしていると、口の中が潤ったままになるので水分の補給を忘れがちに。
気付かないうちに脱水状態になり熱中症になったと考えられます。
自転車に乗るときは他人と2m以内に接近することは少ないので、マスクを外して乗っても大丈夫です。
また、適度に休んで水分補給をしてください。
夏マスク熱中症を防ぐ水分のとり方
水分補給は時間を決めて一定間隔で行うのが大切です。
病院の点滴のような短いインターバルでちょっとずつ行う水分補給の仕方が理想です。
人間の体は急に水分が入りすぎると尿として出してしまうので、体に気がつかれないようにだましながら水分補給をするのがポイント。
熱中症になったときは何を飲めばいい?
熱中症になってしまった場合は、経口補水液が一番水分補給効果が期待できます。
経口補水液は点滴と同じ効果と速度があるんです。
一方、スポーツドリンクはエネルギー補給がメインでカロリーが高く、胃にとどまる時間が長くなってしまいます。
水分は腸で吸収されるので、熱中症の水分補給にはスポーツドリンクよりも経口補水液の方が適しているんです。
熱中症で飲んではダメなものは?
牛乳は血液や筋肉を増やしてくれるので、熱中症の予防には効果的です。
ですが、一旦熱中症になったら牛乳を飲むのは逆効果。
牛乳を飲むと体温がそのままか少し上がります。
牛乳に含まれるたんぱく質やアミノ酸に体温を上げる作用があるので、熱中症で体温が上がったときには牛乳は避けた方が良いです。
運動以外にも注意するシチュエーションは?
同じように、涼しい室内から急に暑い場所に出た場合にも当てはまります。
温度差が激しいと人間の体は変化についていけず、汗をかくべきときにかけないという状態になってしまいます。
すると体温調節に時間がかかって重症になる危険が高くなります。
筋肉が減ると熱中症のリスクが上がる!?
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
牛肉の水分量をMRIで測定したところ、赤身部分の水分約80%、脂身部分の水分約20%という結果になりました。
赤身(筋肉)の量が減ると水分が減り、脱水傾向になることで熱中症のリスクが高まります。
つまり外出自粛による運動不足で筋肉量が減ると、熱中症になりやすくなるんです。
朝食を食べないと熱中症のリスクが上がる、なぜ?
私たちは食べることによっても水分補給をしています。
人間が1日に必要な水分量は2~3ℓですが、そのうち約半分は食事からとっているんです。
また、人間は就寝中には1晩で約300ml、汗をかくと約500mlの水分を失っています。
ちなみに、朝食1食分(和定食)で約500mlの水分補給ができます。
朝の味噌汁は熱中症予防の最強メニュー
味噌汁は熱中症対策に必要な水分と塩分の両方をとることができます。
さらに、味噌には食欲増進作用があるので朝食が苦手な方にも適しているんです。
子どもはマスクをすると体温を下げることができない!?
子どもは汗をかく機能である汗腺の発達が十分ではありません。
・普段元気な子が無口・無表情になった
・フラついたり歩くのが遅くなった
・呼びかけても反応しない
・質問しても全く違う反応がくる
子どもたちのこれらの異変に大人がいち早く気づいてあげることが重要です。
命を守る!正しい冷やし方
このとき体を冷やす方法が『3点クーリング方式』。
熱中症になったとき冷やすと効果的に体温を下げることができる体の3つの部分があります。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
・首の横
・脇の下
・脚の付け根
おでこを冷やすのは気分を良くするためには効果がありますが、頭を冷やしても全身の体温を下げる効果は少ないんです。
冷やすものが1つしかないときは首の横(頸動脈)を優先的に冷やしてください。
おわりに
涼しい気温なのに熱中症になってしまう可能性があるなんて怖いですね…
水分補給をこまめに行うのはもちろんこのこと、状況に応じてマスクを使い分けて熱中症のリスクを少しでも下げていきたいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。