2019年4月14日(日)、NHKスペシャル『密着ドキュメント 片付け~人生をやり直す人々~』が放送されました。
近藤麻理恵さん。みなさん知ってますよね。
こんまりさん、今、アメリカを拠点に世界に片づけを伝導中。こんまり流片づけ。
2年がかりで片づける人もいるそうです。#NHKスペシャル
「密着ドキュメント 片づけ 人生をやりなおす人々」
こんや9時です!https://t.co/hHrzdNk8Ws pic.twitter.com/2zrL8ZPmYD— NHKスペシャル公式 (@nhk_n_sp) 2019年4月14日
2015年にはタイム誌『世界で最も影響力のある100人』にも選ばれ、彼女の片づけがいま世界から注目の的になっています。
こんまりさんは現在アメリカに拠点を移し、出演する片づけ番組シリーズは大人気。
『身のまわりの全てのものに感謝する』という日本的な”精神”が欧米人をひきつけているようです。
今年は米アカデミー賞の授賞式にも招待され、レッドカーペットを歩く姿も見られました。
日本テレビの越智慎一郎NY支局長によると、こんまりさんは今アメリカで一番有名な日本人なんだとか。
さらに、アメリカ人は片づけをすることを『Let’s こんまり』と言うとか言わないとか…!?
今回は、片づけに悩んでいる3人の女性たちへの1年間の密着を通して分かった『こんまり流片づけ』の詳細、そして人生の片付けの極意について番組内容を総ざらいしていきたいと思います。
片づけ依頼者①:ルミさん
1人目の依頼者は、東京近郊の3LDKに夫と子供と3人で暮らすルミさん(仮名・46)。
目標:『ママ友を気軽に呼べる家』
自身も『こんまり流片づけ』を終えた高山喜代美さんがコンサルタントを担当します。
ルミさんの家族3人の寝室は、大量の本や子どものおもちゃや洗濯物で溢れかえり、歩く場所もないほど。
子ども部屋にする予定だった部屋は、ほとんど物置状態。
結婚を機に5年前に住み始めた直後の妊娠・出産。
育児やパートい追われて片づけを先送りにした結果こうなったんだそう。
まずは衣類の片づけ、家中の衣類を一か所に集めます。
こうすることで、自分が今どれだけの量を持っているのかが一目瞭然になります。
夏物だけで100着以上、捨てるか残すか?チェック開始です。
コンサルタントの高山さん「選ぶのは(残す物は)”今”ときめくモノです。触った瞬間に心がどっちの動きをするかを、体感覚として感じてみてください」
「皆さん『ときめきってどういうものか分からない』っておっしゃる方多いんですけども、頭で考えても分からないんですね。こんまりメソッドで大事なのは、必ず『一つ一つの物を触ったときの体の感覚を信じる』ということなんです」
「実際に物を一つ一つ触ってみると、そのときに自分がうれしい感覚がするのかそれともモヤっとした感覚がするのか。この感じって実際にやってみて初めて分かる感覚なんです」
「一つ一つの物を必ず触ってみる。しかも連続して続けることでだんだん分かってくるんですね。なんとなく『これを触ってみましたこれを触ってみました』だけだと分からなくて、繰り返し繰り返し触ってみると『さっきよりうれしい感じがするかも』とか、比べてみることで分かるんです」
ところがルミさんはなかなか感覚で選べません…
コンサルタントの高山さんは『過去のときめきではなく、今この瞬間のときめきで選ぶ』よう助言しました。
過去の自分と今とを比べていて『過去の方がよかった』という気持ちが強くなっているのでは、と高山さんは分析していました。
夫が好きな車の話をするために取っていたという自動車の教本や、過去に海外旅行に行ったときのレシート…
なかなか捨てられないルミさん。
「結局、人が捨てられない理由っていうのは2つしかなくて、それは『過去への執着』と『未来への不安』、この2つなんです」
――こんまりさんにも捨てられないものはあった?
「なんかあるかなぁ…逆に捨てすぎて困ったことはありますけどねぇ…」
片づけ開始から9ヶ月が経ったルミさん。
あれだけ物だらけだった床も見えてきて、3年ぶりに部屋の窓が開きました。
片づけが終わるのは、もうすぐそこです。
片づけ依頼者②:軍司千恵さん
2人目の依頼者は、夫の実家のある埼玉県の8LDKで二人の子どもを育てる軍司千恵さん(32)。
片づけが苦手な上に、遊びたい盛りの二人の子どもがいる千恵さん。
目標:『片づけて気持ちもスッキリ』
千恵さんも衣類から片づけを開始します。
この順番で片づけるを進めるのが、ときめきを感じやすい順番なんだそう。
ところが千恵さん、中学高校のころ着ていた服で捨てられなくなります。
実は中高生時代の服には複雑な思い入れがあるんだとか。
当時の千恵さんはひきこもり(不登校)であまり学校に行ってなかったそうで、そのころ家にいたときに着ていたモノたちだからとのこと。
これらの服を今無くしてしまったら心にポッカリ穴が開いてしまうのでは、という不安があるのかもしれないと話していました。
「これがわたしのメソッドのすごく大きな特徴だと思うんですが、『こんまりメソッド』というのは単に家をスッキリさせるための小手先法ではなくて、『物と向き合うという経験を通じて自分と向き合っていく』っていうすごく大事な自分の内側を見ていくプロセスなんです」
「自分の人生の棚卸しをしているようなものなんですよね。すべてのカテゴリーを全部出していって、すべて一つ一つ見ていく。しかもそれを家の中にある物全部に対してしていく、っていうのってすごくしんどい作業だと思うんです」
「この作業をしっかり経験することによって初めて『自分の人生にとってどんなものが大切なのか』、自分の人生の価値観が見えてくるようになるんです」
コンサルタントの高山さんの提案で、『一番見たくない場所』実家に向かいます。
千恵さん、実家の部屋にほとんどの荷物を置き去りにして逃げるように嫁いだんだそう。
不登校だった中学高校時代、アルバイトを転々とした20代、この実家の部屋で自分を責める日々を過ごしていたんだとか。
千恵さんが物を手放せるようになるために、一番つらかった時代の物と向き合って『過去にカタをつけること』が必要だと、コンサルタントの高山さんは考えました。
千恵さんのつらい記憶を思い出させる当時の給料明細…それなのに、なかなか手放すことができなかったんだそう。
千恵さん「これをたぶん何年か後に見て『あぁ頑張ったんだなぁ』って思うと思うんですけど。未来に連れて行きたいかって言ったら、連れていきたくはない感じがする」
「置いておくと過去のつらい思い出を、思い出がそこにあるっていうのが嫌だ」
コンサルタントの高山さん「見たくない過去だから『えいやー』っていうのは、そこはちょっと違うような気がしていて」
千恵さん「それは言えていますね」
コンサルタントの高山さん「そうじゃないとしたら、どんなお別れの仕方があるかなぁって。ちょっと聞いてみたいなぁと思って」
『過去のつらい思い出にフタをするように捨ててはいけない』と指摘するコンサルタントの高山さん。
最後の最後まで物と対話させます。
『頑張ってくれてありがとう…』、千恵さんはそう言って前向きに手放すことができました。
そして、ひきこもり時代の服も手放し『過去にカタをつけた』千恵さん。
『モノを片づけてるんだけど記憶を片づけてる。途中からカウンセリングをやってるみたいだった』
『今好きなのかい?今嫌いなのかい?というのを選ばなくちゃいけなくて』
『今だけを見られる技が身に付いた』
『つらかったのは今の私じゃなくて何年か前、その日その時の私がつらかっただけで。今はつらくない』
『きょうは元気で楽しいでしょうって』
と明るく話す千恵さんでした。
片づけ依頼者③:芝田奈々美さん
3人目の依頼者は千葉県の3LDKに夫と娘さんと3人で暮らす芝田奈々美さん(49)。
目標:『モデルルームのような家』
本来はデスクスペースのはずの場所が物で溢れかえっています。
旦那さんも困り顔…
それでも衣類の片づけは順調に終えた芝田さん、次は書類の片づけへ。
公共料金の請求書や学校のプリントなど、未処理の書類や契約書だけを残していきます。
芝田さんは障碍者向けのグループホームを経営されているとのこと。
また、副業でアロマセラピーの仕事もされています。
そこに主婦業まで重なれば、なかなか片づけが追い付かないのも当然ですよね…
そこで、コンサルタントの安藤さんは『家で過ごす時間を増やすこと』を芝田さんに提案しました。
コンサルタントの安藤さん「散らかる原因のひとつに、時間の使い方、優先順位の付け方が関係しているかもしれません」
芝田さんは普段から人と会う時間、人と関わる時間が多すぎるんだとか。
それでも知人のライブイベントへの参加などで忙しく駆け回る芝田さん。
芝田さんも本当は家にいたいんだそう。
本当はそういう時間を作りたいのに、なぜか忙しいふりをしている自分がいるんだとか…
本の片づけのときに、そんな芝田さんの深い心の内が見えてきました。
芝田さんが持っていた本は心の問題を扱うものばかり。
実は芝田さん、長年うつ病に苦しんでいて自殺未遂も経験したんだそう。
幼いころに暴力的な家庭に育ったことが原因なんだとか。
それが原因で、いまだに家庭という存在が怖いと感じているとのこと。
芝田さんにはそんな複雑な過去があったんですね。…
コンサルタントの安藤さん、芝田さんにある提案をします。
それは『外にでるとき帰るとき』必ずお世話になる玄関の片づけ。
一足一足靴の裏まで拭きあげ、玄関も隅から隅まで吹きます。
芝田さん、自然と涙がこみ上げてきます。
『外に外に意識が向いてばかりで、足元の大事なもの、家族や近い人に対して傲慢だった』と話す芝田さん。
それが靴の裏や玄関を拭いているうちに思い出されてきたんだそう。
そして、玄関に花とオブジェを飾ることにした芝田さん。
玄関の片づけで家庭の大切さを見つめ直した芝田さん、次は『アロマ部屋にしたい』という6畳間を片づけます。
肝心のアロマグッズは、デスクスペースの小物や書類の中に紛れていました。
物を混在させることは散らかる大きな要因なんだそう。
そのアロマグッズをすべて6畳間に運びます。
積んでしまうと分からなくなるので、物はカテゴリー別に分けてから必ず立てて収納するのだとか。
これで取り出しやすくてかさばらなくなります。
見違えるほどきれいに片づいた部屋を見てビックリする旦那さんでした。
過酷な幼少期が原因でうつになっていた芝田さんが、これまでずっとすがっていたというパワーストーン。
そのパワーストーンも手放す決意をしました。
『家の中のことを一つ一つこなしていくうちに、何とも言えない自分の中からの自信や自分を信じる力が出てくる…』
芝田さんはそう話します。
最後に片づけるのは、懐かしの写真や手紙などの最も判断が難しい思い出の品。
なぜか角刈りになった写真が載っている、高校1年生のときの身分証明書。
いとこと2階の部屋で夜遊びをしていたとき『男と遊んでいた』という理由で、いきなり父親から髪の毛をつかまれて裁ちばさみで切られたんだそう。
これまでほとんど誰にも話せなかった壮絶な過去…
『思い出すと涙が出てくる…』と語る芝田さん。
「残すんだったら明るく素敵に残した方がいい、『あのときつらかった』という形で残すのはおすすめしない。このことを戒めとしようとするのはおすすめしない」と話すコンサルタントの安藤さん。
芝田さんはこの写真を『自分の原点』として、愛する娘さんのへその緒と一緒の箱に入れて残すことに決めました。
その直後、片づけが終わったことを報告するために実家に向かった芝田さん。
70歳を過ぎたご両親と笑顔でやりとりする芝田さんの目には、確かに未来への希望が見えました。
ついに終わりを迎えた芝田さんの片づけ。
娘さんへ部屋をプレゼントし、アロマ部屋も完成。
旦那さんのプライベートスペースも設けました。
家で過ごす時間が増え、やっと安心できる場所になったと感じた柴田さん。
『ここ自分の場所だよね』ということをやっと認識できたと笑顔で話していました。
『こんまり流片づけ』まとめ
・『ときめきで選ぶ』
・『触ってうれしいものを選ぶ』
・『今のときめきで選ぶ』
・『衣類→本→書類→小物→思い出』
・『過去にカタをつける』
・『モノに感謝して手放す』
・『書類は全捨てが基本』
・『玄関は毎日掃除する』
・『花を飾ると気分が”はなやぐ”』
・『モノの住所を決める』
・『モノは立てて収納』
・『最後は思い出の品』
『大切なのは今』
これってマインドフルネスにも通じる考え方だなぁと思いました。
あなたも『人生の棚卸し』、始めてみませんか?
ここまで読んでいただきありがとうございました。