2019年8月10日(土)放送の『世界一受けたい授業』。
『新海誠監督が教える!世界から評価される映画の作り方』というテーマで放送されました。
2016年、日本映画史に残る大ヒット作が誕生…それが『君の名は。』
東京に暮らす少年と田舎で暮らす少女が、入れ替わる!
そして、地球に接近する彗星を巡る感動作。
しかも135の国と地域に配給され、ハリウッドで実写映画としてリメイクされることも決定したのです。
この名作で世界から一躍注目を浴びたのが、今回の講師でアニメーション監督の新海誠先生(46歳)。
2019年7月19日、新海誠先生の待望の新作『天気の子』が公開。
高1の夏、家出し東京にやってきた帆高(ほだか)と、不思議な力を持つ少女陽菜(ひな)の美しく切ない恋の物語。
公開から11日間で興行収入40億円を突破!
これは『君の名は。』を超えるペース。
さらに、140の国と地域に配給されることが決定したんです。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
ビデオコンテを作る時に行う工夫とは?
新海監督の場合、まず映画製作の設計図となるビデオコンテを作ります。
答えは…全ての登場人物の声を監督が1人で吹き込む
「あ!あのスミマセン!オレ…」
「あぁケイちゃんから聞いてるよ。新しいアシスタント」
「いや、オレまだ…」
「私は夏美、よろしくね!」
男性の声はもちろん、女性の声も子どもの声も全部、新海監督が1人で吹き込むんです。
「あげる、内緒ね!」
「え?でも、なんで」
「君、3日連続でそれが夕食じゃん。うふふ」
監督の細かなイメージに演技が加わり、より良いものへと仕上がっていくのです。
物語の発想のヒントにしているものは?
答えは…日本の昔話や和歌から発想を得る
新海監督は発想のヒントを昔話や和歌から得ています。
例えば『君の名は。』
『とりかえばや物語』は男女の兄妹が、男子が女子、女子が男子としてそれぞれ育てられるというお話。
そして『夢と知りせば』は「あの人が夢に出てきた もし夢とわかっていたなら目覚めなかったろうに」という和歌。
これら平安時代の作品から発想を得て、『君の名は。』は生まれたのです。
「雷が鳴り 雲が広がり 雨が降れば あなたを留めておくことができるのに」という和歌なんです。
「『天気の子』もいくつかの昔話から発想を得ました。昔から語り継がれている物語には普遍性があって、面白くて学ぶべきことがとても多いんです」
「昔話を現代風にアップデートしているのが、僕の映画だという風に言えるかもしれません」
脚本の段階で先に誰に読んでもらう?
答えは…音楽担当
打ち合わせしているのは、人気バンド『RADWIMPS』の皆さん。
RADWIMPSは『君の名は。』や『天気の子』の音楽担当をしています。
「例えば『天気の子』のシーンのように、歌詞を聞かせるために映像を伸ばしたシーンもあります」
ストーリーと歌詞がリンクすることで、より物語の中に入りやすくなるのです。
「映画の理屈をジャンプして超えることができるのは、音楽だと思うんですよね」
「RADWIMPSの歌詞が『このときのキャラクターはこういう気持ちなんじゃないか』って教えてくれることもあるんですよね」
「『じゃあこのときは、もっとこの子は全力で走り出すんじゃないか』とか、物語の展開に歌詞が影響を与えたりもします」
ストーリーを構築する際にグラフ化するものとは?
答えは…観客の感情
感情が高まればグラフは上がり、静まればグラフは下がります。
『君の名は。』の場合、三葉の体に瀧が入ったシーンで感情グラフはぐんと上がります。
その後、三葉の悩みが分かり始めて感情は落ち込んでいき、グラフは一番下に。
しかし瀧の体に三葉が入ると、グラフは再び跳ね上がる。
「感情の上下が浅いグラフだと観客は飽きてしまいます。深い感情の起伏を作りながら、クライマックスに向けて感情が底上げされていくグラフが好ましいと思っています」
「やっぱり観客の意見が結構怖いんですよ。見たときに『面白くなかった』とか『ここ退屈だった』って、今まで言われることもたくさんあって」
「『ダレ場』って言ったりしますけど、観客がものを考える時間も必要ですよね」
映画を作るうえでのルールはある?
「作品を作るたびに引っ越しをしています。引っ越すと気分も変わるじゃないですか」
「同じ東京を舞台にしていても、少し違う風景が見えてきたりもしますし。ですから今年ももうすぐ引っ越す予定です」
監督になる前はどんな業界にいた?
新海先生は長野県南佐久郡に生まれました。
冬は凍った湖でスピードスケートを楽しむなど、子どものころから自然と触れ合いながら育ち、高校卒業後に中央大学文学部に進学。
答えは…ゲーム業界
先生は大学卒業後、ゲーム会社に就職。
コンピューターグラフィックスを使い、ゲームのオープニング映像を制作していました。
すると次第に…「自分の作品を作ってみたいなぁ」
そこで、仕事終わりに少しずつ短編作品の制作を開始。
その作品が『彼女と彼女の猫(1999年)』
「その日、僕は彼女に拾われた。だから僕は彼女のネコだ」
当時のアニメーションではめずらしい、すべてパソコンで作るデジタル制作。
これまでになかったデジタルでの斬新な映像表現が、アニメファンを虜に!
修正コメントに必ず添える言葉とは?
もともとは1人でアニメーションを作っていた新海先生ですが、最新作『天気の子』に関わったスタッフはおよそ800人!
新海監督はスタッフが描いた絵を、1枚1枚細かくチェックします。
答えは…感謝の言葉
また、他にも。
という修正コメントとともに…
という感謝の言葉が。
常にスタッフに対する感謝の気持ちを忘れません。
「アニメーション制作はチームワークの賜物です。僕はアーティストでも美術家でもありませんので、才能あるスタッフの力と熱意で形にしていると思っています」
「そういうことで観客の皆さまに、映画を届けることができているんだと思っています」
新海誠監督最新作『天気の子』は、現在全国東宝系にて公開中。
早くも興行収入70億円に迫る大ヒットです!
映画『天気の子』スペシャル予報
映画『天気の子』の予告編映像です。
おわりに
常に周りへの感謝の気持ちを忘れない…ぜひとも見習いたい姿勢ですよね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。