2019年8月10日(土)の『世界一受けたい授業』。
『蚊・毛虫・トコジラミ 夏に気をつけたい虫刺され』というテーマで放送されました。
夏、気になることと言えば…虫刺され。
そんなとき使うのが虫よけスプレーですが、塗りのばしをしないと効果が半減してしまうんです。
虫よけスプレーをただ吹きかけるだけではどうしてもムラができてしまうので、虫は薬の薄いところを狙って刺してきます。
スプレーしたあとに手で塗りのばすことで、虫よけの効果が高まるのです。
たかが虫刺されと侮ってはいけません!
5年前に日本でも騒動になった、蚊が媒介する危険な感染症『デング熱』。
デングウイルスを持った蚊に刺されて感染し、発症すると高熱や頭痛に発疹などの症状が現れ、最悪の場合は死に至ることも…
現在、東南アジアでデング熱の患者数が増加しているため、行く予定のある方は蚊に刺されないよう注意が必要です。
教えてくれるのは、『虫と皮膚炎』の著者で虫刺されのスペシャリスト、兵庫医科大学皮膚科准教授の夏秋優先生(59歳)。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
先生が自ら虫に刺される理由は?
やってきたのは大学内にある実験室。
「今日はこのトコジラミに刺される実験をしてみたいと思ってます」
トコジラミは体長およそ5ミリで、人や動物の血を吸うカメムシの仲間。
日本では1970年代以降ほとんど見かけなくなっていましたが、近年海外からの旅行者の増加などにより国内での被害が急増しているのです。
そのトコジラミをみ太ももの上に乗せた先生、そして吸血中の様子を自らカメラで撮影。
先生の血を吸ってお腹がパンパンのトコジラミ…
これで吸血実験が終了。
症状が治まるまでの1週間から10日の間、かいたり治療したりせずに経過を写真に撮って観察します。
Q:経過を観察する以外に自ら虫に刺される理由は?
答えは…皮膚を切り取って組織を見るため
「中で何が起こっているかを見たいときは自分の体でやるしかないと思って、皮膚を切り取ってその中に集まっている細胞とか、局所の変化を自分で確認するためにやってます」
蚊に刺されたときの対処法
そもそもなぜ蚊に刺されるとかゆくなるかというと、蚊が血を吸うときに注入する物質(唾液腺物質)を、人の体が異物と認識しアレルギー反応を起こすから。
そのため、症状の現れ方は体質によって異なるので、腫れる人とあまり腫れない人がいますよね。
刺された人の何の違いで症状が変わる?
Q:蚊に刺された人の何の違いで症状が変わる?
答えは…年齢によって症状が変わる
蚊に刺されたあとのアレルギー反応は、刺された回数によって変化します。
蚊にまったく刺されたことのない赤ちゃんは、刺されても症状は出ません。
そして刺された回数の少ない子どもは、翌日以降かゆくなり赤く腫れて水ぶくれができることも。
大人になるにつれ刺された回数が多くなると、アレルギー反応がすぐに出てすぐに収まるようになります。
さらに刺され続けた高齢者の方は、最終的に症状が弱くなりまったく反応しなくなる人もいます。
かゆみ止めがない時にかゆみを抑える方法は?
Q:かゆみ止めがないとき かゆみを抑える方法は?
答えは…冷やす
「冷やすと血管が収縮します。それからかゆみを感じる感覚の神経の伝達も鈍くなりますので、冷やすのが一番手っ取り早いです」
「虫に刺されて最初にかゆくなる時間はだいたい20分ぐらいですから、その間家で保冷剤とかでちょっと冷やす。あるいは出先でしたら、冷たい缶飲料などで局所をしばらく冷やして和らぐまで待てば、それで一旦乗り切ることができると思います」
血液型によって刺されやすさは変わる?
Q:血液型によって刺されやすさは変わる?
「あるデータでO型がやや刺されやすいんじゃないかという傾向はあるんですが、それ以外の要素があまりにも多いので。あまり血液型で刺されやすい・にくいを決めてしまうのはよくないと言われています」
「他に、汗かきの人とかお酒を飲んだあとに刺されやすくなるとも言われていますね」
これは汗の臭いやアルコール分解した後に出る二酸化炭素に蚊が反応しているからなんです。
死に関わる虫刺されはある?
Q:死に関わる虫刺されはある?
「蚊以外の虫でマダニが媒介する感染症は要注意です。ある種のウイルスを持っているマダニに刺されてしまうと、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という恐ろしい病気に感染することがあります」
「一旦この病気に感染してしまうと致死率が約15%になっていますから、非常に危険な感染症ということになります」
市街地に多い虫刺され
夏休みのある日。
公園でキャッチボールをし、楽しい一日を過ごした親子。
その翌日…
子ども「かゆいよ、かゆいよ~」
右腕に無数の赤いブツブツが。
虫に刺された覚えはなく、一体どうしてなのか?
原因は…チャドクガの幼虫
体長およそ2.5センチの毛虫で、黒い部分に0.1ミリほどの毒の毛を持つのですが、その数なんと30万
「毒の毛が皮膚に触れますとだいたい1~2日ぐらいたってから、激しい痛みを伴った赤いブツブツが出てきます」
チャドクガの幼虫はツバキやサザンカなど椿科の植物の葉を食べ、年に2回(5~6月・8~9月)現れます。
ツバキやサザンカは公園や生け垣などによく植えられているので、発生が予想される5~6月・8~9月には近づかないこと。
チャドクガに触れてしまったときの対処法は?
Q:チャドクガに触れてしまったときの対処法は?
答えは…ガムテープを使う
「ガムテープで2~3回貼り剥がしをすることによって、皮膚に刺さらずにまだ乗っているだけの毒針毛を粘着で取ろうと」
「そのあとは石鹸をつけてシャワーで洗い流せば、突き刺さっていない毒の毛はなんとか除去できるので、より症状は軽くなると思います」
「ただコロコロを使うと突き刺す可能性があるので、ちょっと良いかどうかは疑問がありますね」
おわりに
これからの時期、虫よけスプレーなどでしっかりと予防しましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。