2019年7月23日(火)放送の『林修の今でしょ!講座』。
『医学的に正しい水の飲み方が全部わかる!大検定SP』というテーマで放送されました。
梅雨の時期は湿度が高く汗が蒸発しにくいため、体に熱がたまりやすいんだそう。
実は熱中症にも特に注意が必要なんだそうです。
これから夏本番、正しい水分補給はとっても大切!
体からたった3%の水分が失われるだけで、脱水症状になり熱中症のリスクも上がるんだとか。
さらに心臓病や脳梗塞など、深刻な事態を招く危険があるいうのです。
私たちにとって水とは一体何なのか?9つの検定問題を通して意外な事実を学んでいきましょう。
教えてくれるのは、救急医療の現場で多くの熱中症患者を診てきた『帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長』の三宅康史先生。
そして、脱水予防のスペシャリスト『医療福祉センター さくら 院長、兵庫医科大学病院 特別招聘教授』の服部益治先生。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
水の量や温度に関する基本知識
1日に必要な水分量は?
答えは…1.8L
体重60kgの人の場合、1日に必要な水の量は最低でも1.8Lなんだそう。
・体重×30ml
体重 水分量
40kg…1.2L
50kg…1.5L
60kg…1.8L
70kg…2.1L
80kg…2.4L
90kg…2.7L
先生によると、緑茶やコーヒーには利尿作用があるカフェインが含まれているので、水分補給という観点では適さないそうです。
さらに、夏といえば…
「ビールの場合はアルコールが含まれています。飲むとアルコールが体の中で熱になって、どんどん体温が上がってくる。体が熱くなることで大量に水分を失ってしまう」
「利尿作用はお茶とかコーヒーに比べて強いんですね。ビールを飲みすぎた次の朝、脱水で目が覚めるということがあると思います」
ビールなどお酒をたくさん飲んだときには、寝る前などにお水をしっかりと摂るようにすると良いそうです。
1度に飲む適切な水の量は?
答えは…180ml
「水というのは2時間に一度、3分くらいかけて少しずつ飲むというのが理想なんです」
「持続的に水分を摂り過ぎると吸収され過ぎて、結果として尿になって出てしまう」
腸が1度に吸収できる水の量を考えると、牛乳瓶1本分くらいの量(約180ml)を、3分くらいかけてちびちび飲むのが効果的なんだそうです。
大量に飲み過ぎると水中毒の危険が!
「正常な腎臓の方だったら水を飲んでも尿量が増えるだけです。でも尿量を作る以上に飲みますと、どうしてもその分は体に溜まってくる」
「僕らの体の中は水とナトリウムのバランスが一定に保たれることで、体がむくんだり逆にシワシワになったりせずに済んでいるんです」
「水だけ大量に飲んでそれをうまくオシッコから出せないと、体のナトリウム濃度が下がることで脳がむくんだり痙攣を起こす」
「海外では死亡例が少なくないので。水は取ればいいというだけではなくてその飲み方、タイミングや量が大事になってきます」
尿の量には個人差がありますが、三宅先生によると特に汗などかいていないのに、1時間に1L以上の水を継続的に飲むのは要注意とのことでした。
熱中症予防に適している水の温度は?
答えは…冷蔵庫で冷やした水
「気温が高い夏ですから、冷やした水は体を冷やす効果があります」
「1日冷蔵庫で置いておくと、だいたい5℃ぐらいまで冷えるんですね。それを体に与えるということは、その分体を冷やす」
「最終的にその5℃の水は37度の尿と汗になって出てくるわけですから、その分体から熱量を奪ったということになりますので、体を冷やす効果があります」
「冷たい水が腸への刺激にもなって、胃腸の具合を良くする。あるいは腸への移動も冷たい方が速いんですね」
ただし冷たい水は胃腸への刺激が強いため、特に高齢者の方は少しずつ飲むようにして、体に負担をかけないように気を付けましょう。
心臓・血管を守る水の飲み方
水を飲む量が不足していしまうと、心筋梗塞や脳梗塞など怖い病を引き起こす可能性があるというのです。
「近年特に増えてきている怖い症状があるんです。『隠れ脱水』と言います」
「我々は体から水分が減ると脱水症になるんですけども、初期は意外と気づいていないんですね。だからちょっと減ったぐらいだったらのどが渇いたとか思わない」
「しかしそこには、実は隠れた状態で脱水が進んでいるということなんです」
汗は何からつくられる?
答えは…血液
「体中に回っている血液から染み出た状態で汗が出ているんですね」
「だから隠れ脱水というのは、常に血液から水分が失われて足りていない状態という感じ。これが気づかないと血液がどこかに詰まりやすくなる」
「脳のどこかで詰まると脳梗塞になり、心臓で詰まると心筋梗塞になるというわけです。ですから隠れ脱水の状態で生活してさらに汗をかいてしまうと、命に関わる病気に進んでしまうということですね」
水分が失われると血栓という血の塊ができ、血の流れが悪くなってしまいます。
その結果、脳や心臓に送られる血流が滞り、病を発症してしまうんだそうです。
予防するためには、体重×30ml以上の水を毎日きちんと飲むことが大切です。
水分が失われる主な要因は?
答えは…呼吸
「体から水分が失われる主な原因が、汗・尿や便・息です」
「息というのは見えない汗と言われています。鏡とかガラスの前で息をすると曇りますよね。あれは水蒸気ですよね。あれだけ我々は息をしながら水分を失っている」人間は1日およそ2万回も呼吸をしているため、何もせずに息だけしていても1日400mlの水分を失っているそうです。
さらにお風呂に入ったり夜寝ているときなど、とにかくたくさんの水分が失われているといいますが…
体の水分がたった3%失われるだけで脱水症状に!
30代の女性の方で検証をしたところ、平常時の水分量57%から一晩寝たあとの起床時で、なんと-2%の55%に。
水分量に換算するとおよそ760mlの水分が失われていたんです。
・3%~ 汗が出なくなる めまい 吐き気
・6%~ 手足の震え 頭痛 脈拍・呼吸の上昇
・10%~ 失神
・20%~ 生命の危機
最終的に命の危険につながることもあるそうです。
また、人間の体で最も水分が多い部分は筋肉なんだそう。
水分がとれないときでもカラカラにならないように、筋肉がダムや貯水池の役割を担っているんだとか。
なので、お年寄りなどの筋肉が少ない人は脱水症になりやすいとのこと。
脱水症予防のためにも積極的に運動をして筋肉を増やしましょう。
最も水分補給すべきタイミングは?
答えは…夜寝る前
睡眠中は長時間水分補給ができないため、実は1日で最も水分を失いやすい時間なんだとか。
入浴よりも水分を失う場合がほとんど。
寝る前に水分を補給することは医学的にも理にかなった脱水予防だったんです。
もちろん、朝起きてからの水分補給も大切。
コップ一杯くらいの水を飲むように心がけましょう。
ちなみに服部先生によると、ビールやコーヒーに含まれる成分には利尿作用があり、ジュースなど糖分を含むものも血糖値を上げて快眠の妨げになる場合があるので、やはり水が望ましいそうです。
名医イチオシ!『水ゼリー』で水分補給
水が苦手な方でも美味しく水分補給ができる、とっておきの方法を服部先生が教えてくれました。
①お湯にゼラチンを入れてかき混ぜる
②器に入れて冷蔵庫でおよそ1時間冷やすだけ
100gの水ゼリーは100mlの水を飲んだことと同じなんだそう。
水ゼリー自体に味はないので、きな粉や黒蜜をトッピングして召し上がってください。
軟水・硬水の飲み分け方
スーパーやコンビニなどでよく見かける軟水と硬水。
この2つは何が違うのか、あなたは知っていますか?
軟水→カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが少ない
硬水→カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多い
水道水を始め、日本で作られている水はほとんどが軟水。
逆に海外では硬水が多いんだそう。
軟水と硬水を上手に飲み分けることで、熱中症などの夏に怖い症状を効果的に予防できるそうです。
熱中症対策により効果的なのは?
答えは…軟水(ミネラルが少ない)
実は硬水に含まれるミネラルは、水分の吸収を妨げてしまう場合があるんだそう。
「マグネシウムが多いのは硬水ですから、水とマグネシウムがひっつくと吸収率がちょっと悪くなるんですね」
「吸収する上ではまずは軟水」
夏太り対策により効果的なのは?
答えは…硬水(ミネラルが多い)
「硬水というのはカルシウムやマグネシウムが多いんですが、脂肪の吸収を妨げてくれるんです」
「特に脂っぽいものを食べると分解するために胆のうから胆汁が出るんですが、その胆汁にマグネシウムがひっつくとその働きを抑える」
「脂肪を体に吸収しにくくしてくれるので、脂肪がつかないということなんですね」
※マグネシウムの脂質の吸収抑制は食事と一緒にとると効果的
寝る前に飲んだ方がより良いのは?
答えは…軟水(ミネラルが少ない)
「寝るのは体を休めることになります。硬水で胃を刺激して活性化すると、寝ているのに体を頑張らせてしまう」
硬水を摂るとマグネシウムやカルシウムなどの影響を受けて、体が活動を始めてしまうこともあるそうです。
寝る前は軟水を飲んで体を休めるのが良いんだそう。
逆に、朝起きたときは硬水を飲んで睡眠中に汗で失ったミネラルを補給するのが良いとのことでした。
血流や腸の働きを良くする『こうじ水』
水にちょっと手を加えるだけで血流や腸の働きの改善が期待できる、服部先生イチオシのとっておきの飲み方をご紹介します。
①米麴を水に浸して一晩冷蔵庫で冷やすだけ
米麴に豊富に含まれる酵素には血流や腸の働きを整えてくれるパワーがあるんだそう。
体調を崩しやすい夏におススメの飲み物です。
おわりに
汗をかきやすい夏、こまめな水分補給を心がけたいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。