2020年3月14日(土)放送の『世界一受けたい授業』。
「6000件の相談を受けた『いじめ探偵』が教えるいじめ解決術」というテーマで放送されました。
新学期が始まるこの時期、急増するのが未成年の自殺です。
その原因のひとつが…いじめ
いじめはもはや学校だけでは解決できない問題になっています。
そんな中、最近注目されている“いじめ探偵”をご存知ですか?
いじめは立証するのが難しく、学校にとりあってもらえないケースも…
そんなとき、探偵ならではの方法で証拠を集めていじめを解決に導いているのが、いじめ探偵の阿部泰尚先生。
先生の元には、毎日いじめに悩む全国の子どもや親から相談が殺到。
これまで受けてきた相談は6000件以上に上るといいます。
そんな数々のいじめを解決へと導いてきた阿部先生に、いじめの解決術を教えてもらいます。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
阿部泰高先生がいじめ問題に取り組むきっかけ
「最初は探偵の仕事ではないと思っていたんです。相談を受ける中で、『証拠がないと学校は動けない』と言われた方がかなりいたんですね」
「調査をするといじめは探偵という中立な第三者がいなければ、なかなか解決しないケースがあると思いました」
いじめ被害にあったとき最初に行うべきこととは?
阿部先生に届く相談の中で近年増加しているのが、パソコンや携帯などを使って誹謗中傷するネットいじめ。
答えは…いじめられている文面を撮影して残す(スクリーンショット)
学校に「いじめられている」とただ伝えても、学校側も何をどう調べてよいか分からずに対処してもらえないケースも多いんです。
必ず日時が分かるように証拠を残すことが重要です。
いじめを受けている子どもの“ある変化”とは?
答えは…遊ぶ友達の名前を言わなくなる
「いじめられている子の多くは、親にいじめを隠す傾向があるんです」
「以前は『◯◯君と遊びに行ってくる』と、誰と遊びに行くの言っていた子どもが、『友達と遊びに行ってくる』と具体的な名前を言わなくなったら要注意です」
いじめの相談を学校に対応してもらいやすくする方法
答えは…朝10時に電話する
学校にアポを取らずに突然押しかけるのはNG!
モンスターペアレントと思われて、相手にしてもらえないケースが多いんです。
「私の経験上、朝10時ごろは教頭や副校長が対応する場合が多く、学校にいじめを認識してもらいやすい傾向があります」
「学校を訪問する際は必ずアポを取ってから行くことが大切です」
いじめられている子に言ってはいけない言葉とは?
6000件のいじめ相談を受けた阿部先生の経験上、いじめられた子どもに言ってしまうと逆に子どもとの関係が悪くなってしまう危険があるNGワードがあるそうです。
そのNGワードとは…「どんなことがあってもあなたの味方」
「子どもは親や大人をよく見ています。普段あまり使わない言葉を急に言うと、子どもからはウソっぽく聞こえるんですね。信用できないと思ってしまうことがあります」
「普段から『あなたの味方』とは言わないと思うので、まずは『どうした?大丈夫か?』と声をかけて一緒に対策を話し合っていくことが大事です」
「いじめの初期段階では効果的な場合もあるんですが、すでに不登校になっている子は相手を見返すことに諦めがあるので、逆に追い詰めてしまうと思います」
いじめ調査にかかる費用は?
「実はいじめに関する調査は無償でやっています」
「相談者に金銭的負担がかからないようにということで、基本的には寄付で運営しています。正直とてもキツい
というのがあります」
いじめ解決のために協力者にすべき人物とは?
答えは…次にいじめのターゲットにされそうな子
「そういう子はいじめに対して嫌悪感も危機感も強く持っているので、情報提供をしてくれる可能性が高いですね」
いじめ探偵の事件簿
これまで阿部先生が実際にいじめ相談を受けてきた中で、特に衝撃的だったいじめ問題について教えてくれました。
ケース①誰も信じてくれないいじめ
※阿部先生への取材を基に再現しています
被害者は野球部に所属する中学2年生の男の子。
ある日。
被害者「お母さん、また新しいグローブを買ってほしいんだけど…」
母親「この前買ったでしょ?もう使えなくなったの?」
なぜか数か月おきに新しいグローブをねだる息子。
しかし母親は「練習を頑張っている!」と思い、特に気にしていませんでした。
むしろ最近では…
被害者「この前の練習試合で絶好調でさ、ホームラン打っちゃったんだよ」
以前に比べて性格が明るくなったように感じていました。
しかしこのとき、すでに被害者は1年以上も前から激しいいじめを受けていたんです。
「普段暗かった子が急に明るくなったときは要注意です」
「いじめを受けている子は親に心配をかけないようにわざと明るく振る舞うケースが多いんです」
そんなある日。
母親「ちょっと!どうしたの?」
顔には明らかに殴られた痕が。
心配になり調べてみると…なんと体中アザだらけ。
特に腹部は酷く、内出血した様子もありました。
被害者「学校で殴られた。言ってもどうせ誰も信じない」
何度聞いてもそう答えるだけ。
母親は手掛かりをつかもうと野球部の部室へ。
そこで目にしたのはズタズタに切り裂かれたグローブでした。
誰がやったのか問い詰めると、犯人は母親も良く知る学校一の優等生だったんです。
同じ野球部に所属し、成績はつねに学年トップ。
先生たちからも絶大な信頼があり、いじめを訴えても誰も信用してくれない。
そこでいじめ探偵の阿部先生に依頼したんです。
いじめの様子を記録!
加害者は誰もが知る優等生、確かな証拠がなければ誰からも信じてもらえません。
そこで加害者と被害者が部室で2人きりになるときを狙い、小型カメラを野球のバッグに取りつけていじめの現場を記録することにしたんです。
「ポイントは『誰にやられているか』を明確に記録することです」
「暴力を受けたときに、誰からいじめられているかを言葉に出すことが重要です。証拠を抑えた後に学校に相談します」
学校側も最初は「何かの間違いじゃないですかね…?」という態度でしたが…
証拠を出して説明し、最終的に校長や加害者からの謝罪と治療費の支払いが約束されたんです。
「被害者の少年は精神的にも肉体的にも相当追い詰められていて、絶対に失敗できない一発勝負だったので、カメラをバッグに3台、ベルトにバックル型のレコーダーをつけて記録しました」
「『いじめで探偵を雇うのは大げさ』と言う方もいるんですが、それは他人事だからです」
「子どもが自殺してからでは遅いんですね」
ケース②脅迫状を送った意外な犯人
※阿部先生への取材を基に再現しています
被害者は中学2年生の女の子。
きっかけは些細なことでした。
最近彼氏ができ、その嬉しさからSNSに彼氏との2ショット写真を載せたんです。
それからしばらくたったある日。
被害者宛てに匿名の手紙が。
開けてみると…「うんざりなんだよ!!てめえが消えねえと終わらねえ」という内容が。
「タチの悪いイタズラ」そう思っていましたが、その後も数日起きに届き続ける恐怖の手紙。
母親は先生に相談しましたが「では注意深く見守ります」という答えだけでした。
手紙は「彼氏と別れろ」という要求で、内容は日に日にエスカレート!
「アイツと縁切らないなら家に火炎瓶とか投げちゃうよ」という手紙も…
あまりの怖さに彼氏と別れましたが、手紙は届き続けました。
一体誰が犯人なのか?疑心暗鬼の毎日。
被害者の不安は限界に。
そこで母親が阿部先生に相談したんです。
大規模な張り込み調査
阿部先生はまず疑わしい人物をリストアップ。
同級生数人に狙いを絞りました。
さらに先生は手紙を見返す中で、ある重要な手掛かりを見つけます。
手紙の消印はすべて、被害者がSNSを更新した次の日になっていたんです。
阿部先生は被害者にわざとSNSに投稿させ、その翌日に複数の捜査員が何人かの同級生を見張りました。
しかし手紙を投函した生徒は一人もいません。
それでも手紙は届きます。
阿部先生は投函された可能性のあるポストを徹底的に監視。
すると…なんと犯人は被害者の彼氏と以前付き合っていた女子生徒の母親だったんです。
犯人は脅迫罪で逮捕されました。
犯行理由は「娘を傷つけられたのが許せなかった」というものでした。
おわりに
僕もいじめられた経験がありますが、なかなか先生は親には言えないんですよね。
そんな状況のときに阿部先生のような人に相談できれば、とても心強いなと思いました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。