2021年3月20日(土)放送の『世界一受けたい授業』。
「『春うつ』対処法!」というテーマで放送されました。
それ、春に起こる鬱状態『春うつ』かもしれません。
実は1年のうち自殺者がもっとも多いのが、3月~5月の春なんです。
春は卒業、入学、就職など1年を通してもっとも環境の変化が多い季節。
新しい環境に適応しようと頑張りすぎてしまうことで、気付かないうちにストレスが溜まってしまいます。
教えてくれるのは愛知医科大学病院の精神科医、藤野智哉先生(29歳)。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
精神科医が教える春うつ対処法まとめ
精神科医の藤野智哉先生が教える春うつ対処法を紹介します。
春うつの原因は寒暖の差が大きいから
春は日中温かくても朝晩は冷え込む日も多く、寒暖差が平均およそ10℃とかなり大きいんです。
そのため自律神経が乱れ、疲れやすい・気分が落ち込むといった鬱状態に。
加えて最近ではコロナ禍で制限された生活を送り、うつを訴える患者が増えているんです。
春うつチェック7項目
①最近、趣味や好きな物への興味がなくなった
②集中力がなくぼーっとすることがある
③疲れやすくなった
④イライラしやすい
⑤最近眠れない日が多い
⑥食欲が落ちた
⑦新生活を前に焦りや緊張感がある
特に⑤睡眠や⑥食欲などはすべての生活の基盤になるので、眠れない日が2週間以上続いている場合は鬱状態になっている可能性があります。
心配であれば一度病院で診察を受けてもいいかもしれません。
悩む人を救う新しい相談窓口『チャット相談』
2020年、コロナの影響で11年ぶりに自殺者が増加しました。
中でも急増したのが全国の小中高生の自殺で、コロナ禍における進路や学業の悩みがその理由と考えられています。
この問題を打破するべく新設されたのが『孤独・孤立対策担当大臣』です。
一人で悩んでいたり自殺を考えている人への相談体制のさらなる強化などを目的に作られました。
この窓口の設立のきっかけになったのが、慶応義塾大学3年生の大空幸星さん(22歳)。
幼い頃から両親の離婚など孤独を経験してきた大空さんは、2020年3月に友人と2人で若者が利用しやすい相談窓口を設置しました。
その相談方法がチャット(文字で会話)。
普段友達にも電話をしない若者でも気軽に相談できる方法を選んだんだそう。
これまでの相談窓口は電話が多く、かけるまでの勇気が必要なために相談ができない人もいました。
大空さんが考えたチャットには現在1日200件以上の相談がくるそうです。
チャット相談窓口の相談員の特徴とは
それは海外在住の日本人だということ。
時差を利用することで24時間365日のチャット相談ができるようにしました。
相談が増えるのは夜10時から朝方にかけて。
そこで深夜でも相談が受けられるように、フランス(時差8時間)、アメリカ(時差13時間)など、時差がある世界13か国の日本人相談員が対応しています。
24時間ずっと開けておいて切れ目ない支援を行えることが大切なんです。
もっとも多い相談は「全部うまくいかなくて逃げ出してしまいたい。でも誰にも相談できない」というもの。
真夜中に「死にたい」とまで考えてしまった10代の女性は時間をかけて相談員とやり取りし、1時間後には「明日も生きてみたいと思いました」という言葉が返ってくるまでになったそうです。
春うつ対処法①あきらめる事
あきらめるということはネガティブなイメージが強いですが、藤野先生の実体験に基づいたことなんです。
名古屋市で生まれた藤野先生は3歳で川崎病を発症。
後遺症が残り入退院を繰り返し、心臓に負担がかかる運動は一切禁止。
一生薬を飲み続けなければならない体になってしまったんです。
そのとき感じたことが「あきらめる」ということでした。
広瀬アリスさん(女優)のケース
この『あきらめる』をうまく取り入れているのが女優の広瀬アリスさん。
広瀬さんは仕事に対して完璧主義者で「常に100点でなければいけない」と失敗しないことだけを考えていました。
それを「ミスをしてもいい、今できることを精一杯できれば」と完璧にすることをあきらめ、100点ではなく80点を目指すと肩の力が抜けて視界が広がったそうです。
為末大さん(陸上選手)のケース
400mハードル日本記録保持者の為末大さんも、あえてあきらめた過去がありました。
8歳から陸上を始め100m走の選手として実力を発揮、夢はオリンピックに出ることだった為末さん。
しかし高校で記録が伸び悩んだことで100m走を断念。
無理をして花形の100mにこだわらず、自分に合う400mハードルで世界を目指すことにしました。
「目的をあきらめたわけではなく手段をあきらめただけ。世界を目指すことに変わりはない」。
その結果、400mハードルで日本人初の銅メダルを獲得し、3大会連続でオリンピックに出場するなど才能が開花したんです。
春うつ対処法②鏡を見ながら自分をほめる
朝一番にすることは太陽の光を浴びること、そして鏡を見ながら自分をほめること。
意識して自分をほめることで普段気付いていない自身の頑張りに気付くことができ、自己肯定的になるんです。
たとえば藤野先生は「寝坊せずに起きて今日も偉いぞ」という風に自分をほめているそうです。
春うつ対処法③ストレスを10段階で数値化する
人と会わず知らず知らずにストレスが溜まるコロナ禍のいま、春うつの状態が続くと自殺を考えてしまう人も。
特に春は新しい人間関係を築かなければいけないため、ストレスによるイライラが増加してしまいます。
そこでどれくらい辛いのか、ストレスを10段階で数値化するのがオススメです。
たとえばレジが行列で進みが遅かったらレベル1、後輩にタメ口を聞かれたらレベル8という具合。
1から10まで数値化することで「8と比べると1のストレスは大したことないなぁ」と思うことができます。
ストレスが7や8になったら外で美味しいご飯を食べるなど決めておくことで、イヤなことがあっても少し楽になれます。
おわりに
精神科医の藤野智哉先生が教える春うつ対処法、ぜひ参考にしてみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。