2019年5月25日(土)放送の『世界一受けたい授業』。
『名スピーチからコツを学ぶ 恥をかかないスピーチ力』というテーマで放送されました。
実は、スピーチはちょっとしたコツさえつかめば意外とうまくできるんです。
教えてくれるのは、『恥をかかないスピーチ力』の著者で明治大学教授の齋藤孝先生。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
恥をかかないスピーチのコツ
打ち上げなどで急にスピーチを頼まれたときにも使える『恥をかかないスピーチのコツ』について、齋藤先生が大切なことを5つ教えてくれました。
①失敗談を入れる(スティーブ・ジョブズ)
「2005年スタンフォード大学で行われ、多くの人々を感動させたスティーブ・ジョブズの伝説のスピーチからコツを紹介しましょう」
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った伝説のスピーチ。
「世間知らずな私は学費がとても高い大学を選んだので、両親の貯蓄全てを学費に使うことになってしまいました」
「しかし半年後、私は大学に価値を見出せなくなり退学を決めました」
・親が苦労して入れてくれた大学を退学した失敗談
「私がアップルを創業したのは20歳の時でした。それから一生懸命働き、10年後には売り上げ20億ドルを超える会社に成長したのです」
「そして我々の最高傑作マッキントッシュを発売してからわずか1年後、私は会社をクビになりました」
「まさか自分の会社からクビにされるなんて」
・自らが創業したアップルをクビになった失敗談
しかしジョブズは…
「その時は気づきませんでしたが、アップルから追い出されたことは人生で最も幸運な出来事だったのです」
「リーダーが語る失敗談には、失敗から学んだ教訓が詰まっています」
「だからこそ、聞いている人たちに『挑戦する勇気』を与えるキッカケになるのです」
さらに、このスピーチで最も有名なのがこの言葉。
「チャレンジ精神の象徴であるこの言葉、実はジョブズが生み出した言葉ではなく引用なんです」
「元々はジョブズが尊敬する雑誌編集者スチュアート・ブランドさんの言葉で、ジョブズの座右の銘でした」
「最後に気の利いた引用を入れるとスピーチが締まるのでとても効果的です」
②笑いを入れる(北野武さん)
「スピーチに笑いがあると相手に共感してもらえます」
保護者の集まりなどにも使えるコツです。
天皇陛下の即位三十年奉祝感謝の集いで、祝辞を述べた北野武さん。
「私が初めて両陛下のお姿と接したのは、お茶会の時でした」
「お土産で頂いた銀のケースに入っている金平糖は今やわが家の家宝になっており、訪ねてきた友人に1粒800円で売っております」
大事な式典でも笑いを入れ、最後には…
「天皇皇后両陛下のいらっしゃる日本という国に生を受けたことを幸せに思います。ありがとうございました」
「笑いがありかつ最後はきちんとまとめ上げたギャップがあって、素晴らしいスピーチだと思います」
③心に残る言葉やフレーズを入れる(又吉直樹さん)
歓迎会や送別会などにも使えるコツです。
2018年、近畿大学の卒業式でスピーチをした又吉直樹さん。
齋藤先生が一番心に残ったのは、次に出てくるワンフレーズ。
「こういうお祝いの席でふさわしいか分からないですけど。僕、自分で書いている文章の中で『バッドエンドはない、僕たちは途中だ』っていうことを書いたんですけど」
「いろんなことがあるけど、それはまだ途中だからっていう。今もそのつもりでいます」
「嫌な事とかしんどい夜が続くときは、これは次にいいことがあるためのフリだと」
「皆さんもこれからいろんなことに挑戦されて、いろんな夜を過ごすと思いますけど。どうかその先に続きがあるということを忘れずにやっていって頂けたらと思います」
「このように主張がわかるフレーズがあると『あの言葉が良かったなぁ』とあとで思い出され、聞いている人の印象に残ります」
④偶然をアピールする(大村智教授)
嫌味なスピーチにならないようにするには、偶然をアピールするのがいいんだとか。
何かで表彰されたときなどにも使えるコツです。
北里大学特別栄誉教授の大村智さん。
微生物の発見について聞かれると…
「我々が土壌摂取で歩く時には、そこで考えられるあらゆる可能性を考えて試料(サンプル)をとるわけです」
「それで見つかったのがたまたま伊東市のゴルフ場」
「(記者の発言)先生の栄誉のために、もちろんプレー中ではないんですよね?」
「もちろんプレーしながら採ってきたものもありますよ(笑)」
「こんな風に偶然をアピールすると、自慢話ではないし無理に謙遜しているわけでもなく、嫌味がない良いスピーチになります」
⑤素の自分を出す(木村和司さん・福原愛さん)
いいスピーチが思いつかないときは、素の自分を出すのがいいんだそう。
自己紹介などにも使えるコツです。
「素の自分を前面に出して、不器用でもいいから勇気を持って言ってみるといいと思います」
1985年、サッカーワールドカップ最終予選。
見事フリーキックを決めたのが、伝説の名選手・木村和司さん。
引退会見で今後について尋ねられたところ…
「まだまだ、もっともっとこう…サッカーうまくなりたいなっていう気持ちでいっぱいです」
「この言葉から『サッカーは魅力的でこんなに面白いんだ』ってことがよく伝わりますね」
「引退会見なのに湿っぽくならず、明るく着地していて非常に素晴らしいと思います」
オリンピックに4大会連続で出場、日本女子卓球界初の銀メダル獲得に貢献した福原愛さん。
2018年の引退会見、小さい頃から馴染みのある報道陣に対して感謝を述べました。
「小さい頃は私、カメラさんって肩からカメラが生えているんだと思ってたんですね(笑)」
「ホントに今日はありがとうございました」
そして最後に…
「1つ私からお願いなんですが、今日ここにいらっしゃる皆様と写真を撮ってもいいですか?記念に(笑)」
「20年以上もメディアから取材をされてきた愛ちゃんならではの素の言葉ですね」
「言われた方の記者やカメラマンたちも本当に嬉しかったと思います」
齋藤孝先生が教えるスピーチのコツあれこれ
スピーチのネタを見つけるには?
「正解はテレビです」
「テレビは雑誌やネットと違い受け身なので、自分が求めていない情報も勝手にどんどん入ってくるんですね」
「ですからネタ探しにかえって好都合なんです」
スピーチが上達する方法は?
「エピソードを15秒単位でまとめられるように練習してみましょう」
「言いたいことだけをコンパクトに言う練習になります」
とのことでした。
恥をかかないスピーチのコツまとめ
・笑いを入れる
・心に残る言葉やフレーズを入れる
・偶然をアピールする
・素の自分を出す
いざという時のために、普段から心がけておきたいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。