2020年6月23日(火)放送の『林修の今でしょ!講座』。
『新型コロナ対策 最新研究でどこまでわかった?』というテーマで放送されました。
マスクについて教えてくれるのは、『日本感染症学会』の専門医の寺嶋毅先生。
消毒について教えてくれるのは、『日本感染症学会』専門医の水野泰孝先生。
家の消毒について教えてくれるのは、病院の清掃・消毒の専門家の松本忠男先生。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
新型コロナ対策:マスク編
マスクの予防効果は結局あるのか?ないのか?
今や当たり前になったマスク。
しかし少し前まではWHO(世界保健機関)も「マスクは感染症リスクの削減に根拠ない(2月)」と公表していました。
そもそもマスクは効果が期待できないと言われていた理由は、マスクの隙間を軽々と通過するほど新型コロナウイルスが小さい(数百分の1)から。
実は最新の研究でその答えが出たそうなんです。
新型コロナはマスクをつけることである程度の効果が期待できる!?
今年5月に香港大学が行ったハムスターによる実験、新型コロナに感染したハムスターの隣に感染していないハムスターを置きます。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
その間に換気扇を設置し飛沫が飛ぶのと同じような環境を人工的に再現したところ、7日以内に66.7%が感染しました。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
しかし感染していないハムスターの側にマスクと同じ素材をつけ、人間でいうと感染していない人がマスクをつけたような状態を再現したところ、感染率は33.3%に減少したんです。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
さらに、感染しているハムスターの側にマスクと同じ素材をつけたところ、感染率はさらに下がって16.7%という結果に。
ハムスターでの実験なので人間にそのまま当てはまるとは言い切れませんが、ある程度の新型コロナ感染予防効果が期待できると考えられます。
飛沫にウイルスが入っていた場合ほかの人の手などを介して感染しますが、飛沫として飛ぶ場合はマスクの隙間より大きいので95%あるいはそれ以上捕獲することができるんです。
マスクを外した時どうすればいい?
外したマスクを清潔に保つ方法を、寺嶋先生が教えてくれました。
使うものはティッシュ。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
【ティッシュサンドのやり方】
①ティッシュを1枚テーブルの上に置く
②マスクの口をつける部分を下にして置く
③その上にティッシュを置いてマスクをサンドする
誰かの飛沫がティッシュを通してついてしまう可能性があるので、必ずマスクの外側の方を上にして置いて下さい。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
また、ポケットに入れる場合はマスクの外側をティッシュで包むように折って、ティッシュごとポケットに入れてください。
使い捨てのポリ袋に入れるとより清潔に保てます。
寺嶋先生によると、揮発したアルコールを直接吸い込む危険性があり、マスクの生地を傷めることで性能を下げてしまう可能性もあるそうです。
暑くなって熱中症が心配!一番の対策は?
最新発表によると、1年間で熱中症で亡くなられた数は1500人以上だそうです。
出典:厚生労働省 平成30年の熱中症による死亡者数
暑い中でマスクをつけていると…
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
わずか5分で約4℃も顔の温度が上昇していました。
体温が上がることで脱水症状を起こしやすくなり、熱中症のリスクが高まります。
さらに、マスクをしていると喉が潤うため体が水分不足になっても気づかず脱水症状を起こし、熱中症になるリスクもあるんです。
たとえ喉が渇いていなくても1時間に1回100ml、確実に水分補給をすることが大事なんです。
目安として、500mlのペットボトルの飲み物を5回に分けて1時間に1回飲むのがベター。
汗をかいていると常時水分が失われていくので、こまめに水分補給をしてください。
また、塩分不足も熱中症の原因になります。
寺嶋先生オススメの塩分補給は塩が入った飴やスポーツドリンク・経口補水液など塩分が入っているもの。
寺嶋先生によると、すぐにマスクを交換した方がいいそうです。
マスクが濡れると空気の通気性が悪くなって苦しくなったり、熱がこもりやすくなるので熱中症のリスクも高まるとのこと。
素材によって効果に違いはあるの?
寺嶋先生によると、マスク着用の一番の目的は『飛沫を飛ばさないこと』。
そういう意味では素材に大きな差があるということはありません。
ただし、ガーゼなどの目が粗い素材だと薄いもの1枚では飛沫が飛び出てしまうので、その場合は何枚か重ねた方がいいそうです。
寺嶋先生によると、洗濯機で洗うのは絶対にダメとのこと。
洗濯機で洗ってしまうと水の勢いで素材が傷んでしまうので、目が粗くなってしまい飛沫を防ぐ効果が低下してしまいます。
マスクを洗うときは必ず手洗いしてください。
また、日光の下で干すとマスクが縮んでしまうので陰干しで乾かしてください。
新型コロナ対策:消毒編
消毒液、効果があるのは?
実は、国が新型コロナに有効な消毒液を発表しているんです。
濃度が高すぎるとウイルスに効く前にアルコールが揮発してしまうことから、厚生労働省は70~83%を推奨しています。
また、北里大学の研究によるとエタノール(アルコール)50%以上の濃度で1分間消毒することで、新型コロナウイルスが不活性化したという研究結果もあるそうです。
つまり濃度が低くても効果がないわけではありませんが、殺菌時間がかかってしまうというデメリットがあります。
アルコール濃度の表記は義務ではなく、表記がないものは消毒に適さない可能性もあるので注意してください。
液体タイプとジェルタイプ、アルコール濃度が一緒ならば消毒という意味では変わりはありません。
ただし、液体タイプは手からこぼれやすくジェルタイプはこぼれにくいので、手にすり込むという意味ではジェルタイプの方が効率的です。
手荒れが気になる人は保湿成分を含むジェルタイプがオススメとのこと。
新型コロナなどのウイルスにはエンベロープ(脂質の膜)があります。
ここにアルコールがつくとエンベロープを壊して退治するんです。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
先月、厚生労働省が新型コロナウイルスに有効だと発表した界面活性剤も、ウイルスの膜を油汚れのように破壊・分散する効果があります。
界面活性剤は普段使っている洗剤に含まれています。
有効成分を含む洗剤など、詳しくは国の要請で洗剤の有効性を研究しているNITEのHPに記載されているので参考にしてください。
水野先生によると、ある程度の効果は期待できると思うが、国が推奨するまでのレベルまではいっていないと理解しているそうです。
効果があると言われているアルコールと界面活性剤でしっかりと消毒をすることで、新型コロナに感染する可能性はほとんどなくなるとのことでした。
体につきやすいところは?
日本感染症学会によると…
第1位…手
第2位…顔
第3位…髪の毛
人間は1時間に約23回も顔を触る
水野先生によると、ウイルスは手で触るところに多くつきやすいとのこと。
また、シドニー・サウスウェールズ大学の研究(2015年)によると、26人が1時間に平均23回顔を触ったとの報告があるそうです。
家の中にウイルスをまきちらす前に、シャワーやお風呂でウイルスを洗い流すとより安全です。
また、服にウイルスがついている可能性もあるので毎日洗濯することをオススメするとのことでした。
洗えないスーツや制服はアルコールスプレーが効果的です。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
インフルエンザの研究で、口腔ケアをしている人としていない人とでは感染する確率が約10倍も違うという結果が出たそうです。
歯科医の天野聖志先生によると、歯周病菌が作るプロテアーゼ(酵素)が口の中の粘膜を破壊し、そこからウイルスが体内に入りやすくなるんだそう。
口の中をケアすることで歯周病菌が減るので、インフルエンザ同様に新型コロナウイルスにも効果が期待できるとのこと。
新型コロナ対策:家の消毒編
家で今、注意すべき場所は?
消毒の専門家、松本先生によると…
第1位…ダイニングテーブル
第2位…トイレ
第3位…洗面所
【第1位:ダイニングテーブル】
家族での会話が多い場所なので飛沫がテーブルに落ちたり、食べこぼしや手の脂が多いんです。
また、ハウスダストが溜まりやすい場所でもあります。
ダイニングテーブルは食事をするので、ウイルスを手で触って口に入れる可能性が高い場所です。
テーブルの拭き方を間違えてしまうと逆効果になることも…
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
先に水に濡らして拭いてしまうと逆に汚れが増えてしまうんです。
つまり、乾いた汚れのウイルスに水拭きは逆効果、あたり一面に塗り広げてしまう結果に。
ゴシゴシ拭くとウイルスや汚れが余計にこびりついて残ってしまいます。
【正しいテーブルの拭き方】
ポイントは、雑巾やクロスの先頭方向が必ず進む方向を向いていること。
Sの字を描くように拭いてください。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
雑巾やクロスなど拭くものを三角形に折ると軸ができて回転しやすくなります。
乾拭き→洗剤をつけて拭く→最後に消毒用のアルコールで拭いてください。
【第2位:トイレ】
第1位…トイレ
第2位…枕
第3位…電話機など
新型コロナが便からも検出
コロナウイルスはトイレットペーパーの繊維よりも小さいので、ウイルスがトイレットペーパーを通過します。
知らない間にウイルスがついた手や指でドアノブやスイッチなどを触ることで感染が拡大するんです。
さらに、ダイアモンド・プリンセス号のトイレの中でも新型コロナウイルスが一番多く検出されたのが、床。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
フタを閉めずに水を流すと水分と一緒に便器内に残ったウイルスを飛散させる可能性もあるんです。
【第3位:洗面所】
一見キレイに見える洗面台を特殊なライトで照らすと…
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
洗面台の周りにはお飛び散った水しぶきがそこら中についていました。
この水しぶきにウイルスが混じっている可能性もあるんです。
買った野菜などは消毒必要?
松本先生によると、わざわざ消毒までする必要はないそうです。
水で15~30秒ほどすすぎ洗いをし、それでも心配なら温野菜にしたり熱を使った料理にするといいんだとか。
紫外線にあてるのはどこまで効果があるのか難しいとのこと。
また、ウイルスは寒さに強いので冷蔵庫の中でも死滅しません。
SARSウイルスの例では、マイナス80℃の環境で3週間程度生き残っていたというデータもあるそうです。
スマートフォンの汚れに要注意!
スマートフォンに手の脂がつくとベタベタするので、ウイルスやハウスダストがよりくっつきやすくなって取れにくくなります。
出典:テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』
表面がツルツルした素材はある程度の期間ウイルスが生き延びるので注意が必要です。
スマートフォンをアルコールで拭くと素材を傷める可能性があるので、乾拭きで行ってください。
また、お金を扱うときは利き手以外を使うことでウイルスが口に入る可能性を下げるので、感染リスクを軽減させることができます。
エアコンを使うとき換気は必要?
エアコンには換気機能がついているわけではなく、部屋の空気を吸い込んでフィルターでろ過した後にまた部屋に戻しています。
エアコンを使うときは1時間に5分程度は換気をして空気を入れ替えることが大切です。
おわりに
マスクと消毒の知識、知らなかったり勘違いしていたものばかりでした。
正しい知識を身につけてウイルス対策をしっかり行っていきたいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。