2019年12月17日(火)放送の『この差って何ですか?』。
「『年賀状』『お正月飾り』『お年玉』実は間違いだらけ…正しいお正月のしきたりをご紹介!」というテーマで放送されました。
あと少しで、令和になって最初のお正月。
そろそろお正月を迎える準備を始めている方もいらっしゃると思いますが…
年賀状・お正月飾り・お年玉の3つに関して、よりよい作法やしきたりにまつわる差をご紹介♪
教えてくれるのは、和文化研究家・日本礼法教授の齊木由香先生。
放送内容をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
年賀状の正しい作法
【齊木先生の解説】
「実は多くの方がお正月に相応しくない言葉を使って書いているんです」
特に多くの方が使ってしまっていた相応しくない言葉を、1枚の年賀状に集約。
賀正 謹賀新年
新年あけましておめでとうございます。
去年は大変お世話になりました。
今年もよろしくお願いします。
2020年 1月1日 元旦
目上の方に出したこの年賀状、5つの間違いポイントがあるんです。
【間違いポイント①】
×去年→◯昨年または旧年
→“去”という字には“死去”や“去る”という意味があり、不吉な事を連想し縁起が悪い
他にも縁起が良くないという理由で、“負ける”や“離れる”というような字も年賀状には相応しいとされているのです。
【間違いポイント②】
×元旦
→元旦には『1月1日の朝』という意味があるので、どちらか1つで良い
【間違いポイント③】
×賀正(迎春も×)
→謹賀新年は“謹”という字に相手を敬う意味があるためOK
賀正は“恭賀新正”の間を取った略字で、“恭”という字に相手を敬う意味があるので、恭賀新正という略さない書き方ならOKなんだそう。
【間違いポイント④】
×新年あけまして~
→あけたのは新年ではなく旧年なので、日本語として間違い
あけまして~、とだけ書きましょう。
【間違いポイント⑤】
×句読点
→句読点には終わり・区切りの意味があり、あまり前向きなものではない
同じように、“!”や“?”などの感嘆符もあまり使わない方がいいとのことでした。
お正月飾りの正しい作法
しめ縄飾りの種類によってご利益は変わる?
この時期ホームセンターなどに行くと、大小さまざまな大きさのしめ縄飾りが売られています。
大きさや値段によってご利益に差はあるのでしょうか?
【齊木先生の解説】
「しめ縄飾りには歳神様のために悪いものを家に入れないという意味があります。(ご利益は)大きさや値段で変わらないんです」
そう、しめ縄飾りは大きさや値段いよってご利益に差はないんです。
しめ縄飾りには大きく分けて、牛蒡じめ・玉飾り・輪飾りの3つの種類があります。
形によっても特にご利益に差はありません。
では何を基準に選べばいいのでしょうか?
実は付いている飾り一つ一つにそれぞれご利益があるんだそう。
梅…出世をしたい会社員がいるにおススメ
→春に咲く花の中で最初に咲くので出世の象徴とされている
裏白…ご年配の方がいる家庭におススメ
や→裏面が白いことから『白髪になるまで長生きをする』という意味がある
ゆずり葉…子どもや孫が欲しい家庭におススメ
→葉が次の葉に役目を譲るように落ちていく子孫繫栄の象徴
橙…商売をしている家庭におススメ
→一度なった実が3年経っても落ちないことから『代々栄える』という意味がある
門松の種類によってご利益は変わる?
門松はお正月に家を守ってくれる歳神様が、迷うことなく家に来ることができるように目印として置く飾りのこと。
実は形によって得られるご利益が変わってくるんです。
門松は大きく分けて、斜めに切ってある門松・水平に切ってある門松の2種類あります。
水平の門松…切り口が詰まっていることから『お金が出ていかない』
→お金が貯まる
→金融機関などに飾られている
斜めの門松…切り口が笑い顔になっていることから『笑う門には福来る』
→福を呼び込む
さらに斜めの門松は、置き方によってもご利益に違いがあるんです。
2番目に高い竹が内向き…人を引き寄せる『迎え飾り』
→子どもが欲しい夫婦や商売繫盛でお客を呼び込みたい家庭におススメ
2番目に高い竹が外向き…人を送り出す『出飾り』
→子どもの独り立ちや娘さんの結婚の門出を迎えた家庭におススメ
お正月飾りを飾り始めるのに良い日はいつ?
しめ縄飾りや門松は、飾り始めた方が良い日が決まっているんです。
それは…12月13日~12月28日の間までに飾り付けるのが良い
12月13日…鬼宿日(きしゅくにち)と言われ、鬼が休んでいる日
→鬼が休んでいるので何をしても鬼が邪魔をしない
12月28日…28日の“八”が末広がりでとても縁起が良い
12月29日…29日が“二重苦”を連想させるので縁起が良くない
12月30日・31日…『一夜飾り』と言って、急いで準備を済ませるお葬式を連想させるので縁起が良くない
※30日は旧暦で大晦日にあたる
お年玉の正しい作法
ぽち袋が小さい理由は?
この時期、お年玉をあげるために新札を準備したり、ぽち袋を買ったりしますよね。
でもこのぽち袋、他の封筒に比べてなぜ小さいのか疑問に思ったことはありませんか?
実は、ある理由があるんです。
そもそもお年玉は、今から800年前の鎌倉時代に始まったと言われている風習です。
当時はお金ではなく神様へのお供え物である鏡餅を、一家の主である家長が小さく割って子どもたちに配っていました。
その後、昭和になるとお金を渡すようになったのですが、もともと小さなお餅のかけらだったので…
「はい!これっぽっちだよ」
そう、気持ち程度の金額しか渡していなかったんです。
その際に中の金額を期待させないために、小さなぽち袋で渡したんです。
さらに、お年玉は本来目上から目下に渡す風習なので…
【齊木先生の解説】
「実家の年金暮らしのご両親にあげる方もいらっしゃると思うんですけれども、目上にあたるご両親に上げるのは失礼にあたるんです」
「どうしてもご両親お渡ししたいという場合は、ご祝儀袋に『お年賀』と書いてお渡しするのが一番いい方法なんです」
※お年賀…お正月にお世話になった方へ渡す贈り物のこと
お札を綺麗に三つ折りにする方法
ぽち袋はお札を三つ折りにして入れるのにちょうど良い大きさになっています。
ちなみに四つ折りだと厚みが出てしまい、受け取ったお子さんが期待をしてしまうので避けた方がいいんだそう。
そこで、ぽち袋に三つ折りでお札を入れる際のより良い折り方を、齊木先生が教えてくれました。
千円札…肖像画の右頬の輪郭に合わせて左側の端を折り、右端を左端に合わせて折る
5千円札…肖像画の下の『樋口一葉』という文字の“一”の左端に合わせて折る
1万円札…肖像画の下のお札の記号・番号の1番目と2番目の間の模様の突起物に合わせて折る
お札の肖像画が内側にくることによって、お顔が汚れずに済みます。
お顔を汚してしまうと『面子を潰す』という意味になり、失礼にあたるんだとか。
お年玉をあげる金額の平均は?
お年玉をあげるときに気になるのが「それぞれの年代の子にいくらあげればいいの?」ということ。
そこで一般の方100人に、幼稚園児から大学生までお年玉を渡すときいくらあげているのかを徹底調査しました。
各年代でもっとも意見の多かった金額は…
幼稚園…千円
小学生(低学年)…千円
小学生(高学年)…3千円
中学生…5千円
高校生…1万円
大学生…1万円
という結果になりました。
ちなみに、全体の6割(59人/100人)の人が「親戚間で話し合ってお互いにいくらあげるか金額を決めている」という意見でした。
おわりに
しめ縄飾り、こんなにたくさんの意味が込められていたんですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。